決算書が読めるようになって変わった経営の視点

投稿者 neilturner

小さなカフェを開業して3年目、決算書の重要性を本当の意味で理解したのは、銀行から融資を断られたときでした。それまで決算書は税理士に任せきりで、数字の意味を深く考えたことがありませんでした。

開業当初、私は料理とサービスに情熱を注いでいました。お客様の笑顔が何よりの報酬で、経営の数字には正直あまり興味がありませんでした。決算書も年に一度、税理士から受け取るだけで、ざっと目を通す程度でした。売上が伸びていれば問題ないだろうと、漠然と考えていたのです。

しかし、店舗拡大のために融資を申し込んだとき、銀行の担当者から厳しい指摘を受けました。「売上は伸びているのに、なぜ利益率が下がっているのか」「固定費の比率が高すぎる」など、私が答えられない質問ばかりでした。その場で決算書を見せられても、どこをどう改善すればいいのか全く分かりませんでした。結果、融資は見送りとなりました。

この経験がきっかけで、決算書を真剣に学ぶことにしました。まずは基本的な用語から勉強を始め、損益計算書や貸借対照表の見方を一つずつ理解していきました。すると、自分の店の経営状態が数字で見えるようになってきました。原価率が業界平均より高いこと、人件費の配分に無駄があること、在庫管理が適切でないことなど、改善すべき点が次々と明らかになりました。

決算・確定申告に強い格安税理士を紹介してもらい、毎月の数字を一緒に確認しながら経営の相談をするようにしました。単に記帳を依頼するだけでなく、決算書の読み方や経営指標の活用方法についても丁寧に教えてもらいました。特に、月次決算書を作成してもらうことで、問題点を早期に発見できるようになったのは大きな収穫でした。

数字に基づいた経営判断ができるようになってから、店の収益性は大きく改善しました。メニュー構成の見直しや仕入れ先の変更、シフトの最適化など、具体的な施策を打てるようになりました。再度融資を申し込んだ際には、改善の過程を数字で説明でき、無事に承認されました。

今では決算書は単なる税務書類ではなく、経営の羅針盤だと考えています。数字を読む力は、経営者にとって必須のスキルだと実感しています。

投稿者 neilturner